市民と弁護士が行っている憲法学習会「terra cafe kenpou」

今夜はハンセン病差別を真正面から取り上げた映画「あつい壁」「新・あつい壁」をつくった中山節夫監督をお招きし「差別・偏見とたたかって」をテーマにお話しを伺いました。


中山監督は1937年熊本県合志町生まれ。
牧場の向こうに長い塀があり、6歳の時、その壁が気になって、教師に聞いたところ「あそこはきゃー腐れが行くところ」と教えられ、背筋が寒くなった。それがハンセン病の菊池恵風園。今思うと差別というものは、ご飯を食べるように日常の中で刷り込まれて行くものだと感じる。
中学生になると、動物園に行くような興味感覚で恵風園に行った。当時は2000床。
高い塀と深い堀があり、檜に石を投げたら、火葬場からの灰が舞い上がって非常に不気味だった。
一緒に行った友達は中に入っても全然怖がらなかった。なぜか。当時は終戦直後で物がなく、友人達は、物々交換で時々園に入って、らい病(ハンセン病)は感染らないと知っていた。
中に入ると患者から「饅頭できとっぞ。食べて行かんかぁ」と声をかけられ、一緒に行った友達は喜んで食べたが、自分は食べることができなかった。
医者になろうと高校に入ったが、映画ばかり観て、医学部を落ちてしまった。そこで東京の理系の国立大学に入ったが、映画をやりたくて、多摩美術大学付属芸術学園映画科に通い、学生でありながら助監督として日活に入社した。
高校2年の時、PTAで黒髪小学校に恵風園の龍田寮の子どもは入れないという運動が起こった。可愛そうだと思い、母に聞いたが、理屈ではハンセン病は感染らないと分かってはいても皮膚感覚として入学をさせないという気持ちは分かると母から言われ、親子でも考え方が違うと感じた。
「深い淵から」の中の、ハンセン病と診断され二人の子と別れなければならなかった母親の手記を読んだ。
日活を辞めフリーの助監督をしながら、25歳の時、ハンセン病の記録映画を作ろうと脚本を持ち込んだところ、27歳でTBSでドキュメンタリーを作った。30歳になるので自分の映画を撮りたいと思い、学生時代に書いた脚本を元に映画「あつい壁」を作った。映画を作るにあたって製作協力券を売る運動を行った。教師を中心に広がった。ただ、多額の借金が残り、母の退職金や実家の土地も売ったが返せなかった。
菊池恵風園で試写をしたところ「良かった」と言われた。しかし、その一週間後、電話がかかりもう来ないでくれと。子どもがいる患者さんから。当時でも、すでにハンセン病は治っていたし、感染もしない状態だったにも関わらず隔離と根強い差別が続いており、残された家族や子どもの心中や自殺も起こっていた。
入所者の子ども達を訪ね歩いた。子ども達は成長し大人になったが、関西で水商売をしている女性は「男達に対する復習」のためにこの仕事をしていると。船員をしている男性はどうせ帰るところは親がいる恵風園しかないのだから船に乗っておく方が気が楽と。誰一人として過去を忘れて明るく生きている人はいなかった。
「新・あつい壁」は実際に起こった事件(藤本事件。ハンセン病元患者が殺人の罪で無実を訴えながらも死刑になった事件)。人数合わせのために健康体であるにも関わらず恵風園に入れられた。殺人の疑いをかけられ裁判所ではなく恵風園の中で裁判が行われた。差別を恐れた親戚からは頼むから死んでくれ、療養所ではなく刑務所で死んでくれと言われた。
彼を死刑に追い込んだのは、直接的には司法関係者だが「恵風園に行くなら死んだ方がマシ」と当然のように思っていた私たちの心ではないか。

中山監督の次回作は西日本短大付属高校野球部をモデルにした「野球部員、演劇の舞台に立つ!」(渡辺佑太朗、林遣都、宇梶剛士、宮崎美子ほか)です。

来週(3/28)は、ベトナム映画「Don’t Burn」を上映します。
この映画はベトナム戦争中に殉職した若い女性医師の日記を拾ったアメリカ兵の話が元になった実話です。
お楽しみに。

日時 3月28日(火)19:00-21:00
場所 光円寺門徒会館(天神3丁目15-12)
参加 無料
https://www.facebook.com/events/1450379254994716/

【今後の予定】
terra cafe kenpouの今後の予定をおしらせします。
特に記載がない限り火曜日19時〜光円寺門徒会館(天神3丁目15-12)です。
予定は入れ替わるかもしれません。下記サイトでスケジュールをご確認ください。
http://ohashilo.jp/lawyer/goto/active/terra-cafe-kenpou/
なお急遽会場変更になることもございます。変更の場合は下記サイトでご案内します。
http://ohashilo.jp/blog/
3月28日 ベトナム映画「Don’t Burn」上映会
4月4日 お休み
4月11日 「軍事研究費について」(西崎翠福岡教育大学教授・社会福祉学)
4月18日「なぜわざわざ海外に援助するのか?」(山内康一さん・元衆議院議員・元JICA職員、元NGO職員)
4月25日 誕生!日本国憲法
5月2日 お休み