社民党福岡県連からの参院選予定候補者の擁立について

今夏の参院選福岡県選挙区(定数3)に、社民党福岡県連が候補者を擁立するとのニュースが流れました。
この社民党福岡県連の動きに対し、インターネット上で批判的な意見が散見されます。
私は、これらの意見に強い違和感を覚えます。
今夏の参院選福岡県選挙区は、従来定数2(現在は自民党と民主党が議席を有している)であったところ定数3に増加されたという事情があります。定数が1つ増えた分を安保法制を推進する勢力が獲得するのか、それとも安保法制に反対する勢力が取るのかが大きな鍵となります。この増加した1枠をめぐっては、安保法制を推進する勢力からは公明党が候補者を擁立しています。これまでのデータから公明党の得票数が40万を下回ることはないとみられています。かたや安保法制に反対する勢力としては、共産党が20万票、社民党が5〜10万票程度とみられています。つまり、この1議席を安保法制に反対する勢力が獲得するためには公明党の40万票を上回る議席が必要で、そのためには、共産党と社民党が共闘するのは当然で、さらに党派の枠を超え多くの市民が結集する必要があります。
社民党はこのことを十分に認識し、この間、福岡県内における野党共闘の道を模索していました。
そのため、本来、政党である以上、他党が候補者を擁立するタイミングに合わせて社民党も候補者を擁立すべきところ、候補者の擁立時期を遅らせてでも、野党共闘に尽力してきたというのが、社民党福岡県連の姿です。
社民党福岡県連は、他党が早々に候補者を擁立していく中でもなお福岡県における野党共闘の道を模索してきました。しかし、現時点で、福岡県において野党共闘が実現する目処は立たず、やむなく候補者の擁立に踏み切ったものでしょう。
社民党福岡県連に対し、私は、この間の野党共闘に向けた尽力を高く評価するとともに、感謝の気持ちすら持っています。
おそらく、社民党福岡県連は、この1枠の獲得をめぐって候補者擁立後もなお野党共闘の道を模索するものと思われます。
市民として願うのは、このまま共産党と社民党がそれぞれ独自候補を立てて参院選を争うのではなく、市民を交えて協議を行い、増加した1枠の議席の獲得をめぐって野党が共闘することです。
私は、これからも福岡県における野党共闘のために努力します。それが戦争のない平和な未来を子ども達に残す大人の責任と感じています。

以上

2016年1月15日

弁護士 後藤富和