福岡市人権啓発講演会「『ひとりにしない』という支援」に参加しました。
講師は、NPO法人抱樸理事長の奥田知志さん。

凄かった。


この写真の図は講演の最後に示されたものですが、ズドンと腹に落ちました。
「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)から「個人の尊重」「幸福追求権」(憲法13条)へのステップ。「物」の支援だけでなく、そこに人が関わることで「物語」になる。

日本ではワクチン接種が進んだが、世界にはワクチンを買えないという国もある。こんな中で自国第一なんて言っても仕方ない。
でも「自分病」は治らない。昨年春、トイレットペーパーを買い占めた。トイレットペーパーがなくなったんじゃなく、私たちの心の中から他者がいなくなった。自分だけになった。
医療関係者に感謝と言いながら、医療関係者の子どもは保育園に来ないでくださいと。結局、自分だけ。
コロナはいつか収まるけど、自分病は治らない。
一見、自分を守っているようだけど、こういうやり方していると、脳は一人分のエネルギーしか出さない。
マララさんは、世界中の女性や子どものことを考えてるから、殺されかけてもあれだけ元気。他者が住んでいるから無限のエネルギーが湧いてくる。中村哲さんもそう。
自分のことだけ考えている人は、いつも不安で、元気がない。
コロナじゃなくて自分病で世界は滅びる。気候変動もそう。
自分病を治すには、心の中に何人住んでますかと問い直すこと。
利他性。
他者が自分の中に住むのはとてもしんどいけど、それを危険だとすると人を排除する。
「抱樸」老子の言葉
原木荒木をそのまま抱く。条件つけない。
原木荒木は無限の可能性を持つ。
荒木ゆえに傷つく=絆は傷を生む。
一番困っている人たちが相談に来れない。訪問型の学習支援。
なんで一週間に一回、おにぎりを配るのか。命を守るため←盛りすぎ。
友達の家に行くのに手土産を持って行く感覚。あなたのこと心配してる人はいるよと。
支援目線のステージ→非日常
当事者目線のステージ→日常
大切なのは、
1 気づく
2 聴く
3 つなぐ
4 つながる
その人が接触する可能性がある人物や組織に、支援につなげる入口を担ってもらおう(長崎誰でもゲートキーパー作戦)
コロナ死者 7826人←医療関係者(専門家)が頑張る
自殺者 2万1081人(2020年)←専門家、専門家につなげる(気づく)市民
わが国の若者の死因のトップは自殺(先進国で日本だけ)
孤立率が日本が突出している。
アメリカ お金はないが、友達がいる
日本 お金もないが、友達もいない←お金だけ配ってもダメ。
お金だけ配っても本当に子どもに届くのか。使い方を相談し一緒に考えてくれる人がいるんじゃないか。
しかもこのお金は税金。いずれ返さなきゃいけないもの。
日本は、お金はあっても、頼る人がいない人も多い。
日本では、身内の責任論が極端に常識化している。8050問題。
何十年にもわたって親だけが責任を負わされるのは日本特有。そこには社会がない。身内しかいない。
自己責任論。
コロナにかかったボリス・ジョンソン「社会はあった」
日本の社会保障→現金給付と現物給付
つながりとケアは家族、地域、会社が担ってきた。
孤独の健康被害は、肥満や喫煙よりも重大。
孤立(Isolation・客観)と孤独(Lonliness・主観)は違う。
孤立は国の政策の問題
孤独はコミュニティの問題
孤独のリスク
① 自分自身からの阻害
人は他者を通じて自分の状態を知る
孤独だと自己認知不全」を起こす
② 生きる意欲、働く意欲・動機の低下→物語が生まれない
・何のために働くのか 内発的動機
・誰のために働くのか 外発的動機
→意欲低下は自殺の危険性を高める
③ 社会的サポートとつながらない
ホームレス支援から見た二つの困窮
路上で「畳の上で死にたい」
孤立後「俺の最後は誰が看取ってくれるのか」
経済的困窮(ハウスレス)
社会的困窮(ホームレス)
かつて路上で見ていた風景が日本中に広がってきている。
若い女性の自殺が増えている。
ホームレス中学生「家があっても帰るところがない。誰からも心配されない」
解決する力はないけど、専門家じゃなくても一緒に動くことはできるんじゃないか=伴走型支援の必要性
伴走型支援の効果
・貧困のスパイラルを止める
・自律を支援する
・物語の創造
「物」に人が関わることで「物」が「物語」となる。
支援① 自立支援(憲法25条)←これまでの支援はここで終わっていた。
支援② 自律支援(憲法13条)「名前のある個人として自分の物語を生きる」
#奥田知志
#抱樸