【福岡県弁護士会】憲法記念日にあたっての会長談話


 本日,日本国憲法の施行から71回目となる憲法記念日を迎えました。

 日本国憲法は,基本的人権の尊重,国民主権及び恒久平和主義の三原則を基本原理としています。これは,先の大戦において,多くの日本国民の生命のみならず世界の多くの人々の生命が奪われるという戦争の惨禍を経験した歴史を痛切に反省し,政府によって二度とこのような過ちが起こされることのないようにするという固い決意によるものです。 

また,日本国憲法は,国家権力の濫用により深刻な人権侵害が生じた歴史を教訓として,憲法によって国家権力を制約し,為政者による恣意的な権力行使を許さないとする立憲主義を根本理念としました。

 この72年間,日本国憲法は,国民生活が平和で豊かなものになることについて大きな役割を果たしてきました。

 近時,政権与党である自由民主党により,憲法9条1項・2項は残しながら,新たに憲法9条の2という条文を設け,自衛の措置及び自衛隊の存在を明記することを内容とする憲法改正が提起されようとしています。

 しかし,憲法に自衛の措置や自衛隊の存在を明記することは,恒久平和主義や基本的人権の尊重などの憲法の基本原理に深く影響を与える可能性があります。

 したがって,憲法に自衛の措置や自衛隊の存在を明記する憲法改正の議論にあたっては,明記の必要性はもちろん,憲法の基本原理に抵触しないかどうかについて,国民による十分な議論が尽くされなければなりません。

 そのためには,多面的で十分な情報が広く国民に提供された上で,国民がそれらを理解し,議論するための時間が十分に確保される必要があります。

 福岡県弁護士会は,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする立場から,憲法改正に関する必要な情報を国民に提供するために,市民に開かれた新しい弁護士会館で,定期的に市民向けの講演会・シンポジウム等を開催することにより,国民にその問題点と課題を広く明らかにし,国民が十分に考え,議論できる機会が保障されるよう,全力で取り組む所存です。

2019年(令和元年)5月3日

福岡県弁護士会 会長 山口雅司

https://www.fben.jp/statement/dl_data/2019/0503.pdf