よみがえれ!有明訴訟の福岡高裁での弁論でした。

話し合えば解決の糸口が見つかる。

その話し合いを拒絶するのは、海を破壊し地域を破壊した張本人である農水省。

昨年11月18日の衆議院農林水産委員会において田村貴昭議員(共産)が,翌19日の同委員会において大串博志議員(立憲民主)が,それぞれ諫早湾干拓問題に関し,大臣の現地視察の必要性や和解協議に関する質問を行った。和解協議をテーマにした大串博志議員の質問に対し,農水大臣は従来同様,開門によらない基金による和解がベストと答弁しつつも,「昨年十月,江藤前大臣が現地視察の際に、さまざまな立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うこともあってもよいと発言されたと承知をいたしておりますが、私もその考えは全く同様でございます。」と答弁している。

これらの衆議院農林水産委員会における質問と答弁を踏まえ,昨年12月20日に農水大臣の現地視察が実現し,同日の最後のプログラムとして佐賀市内のホテルにおいて,有明海漁民,国に対し開門請求をしている本件干拓地営農者,代理人弁護団との意見交換会が実現した。国側は農水大臣はじめ本件干拓事業を担当した農村振興局長以下の実務担当者,九州農政局長などの本件干拓事業における責任ある地位の者が勢揃いした。

この意見交換会において,前述の国会質問における答弁について質問したところ,農水大臣は,その答弁同様「さまざまな立場の関係者がバランスよく参加するのであれば一堂に会して話し合うこともあってもよい」との考えを繰り返した。

いうまでもなく,国会における大臣答弁は極めて大きな意味を持つものであり,決して軽んじられてはならない。しかも,本件干拓事業における責任ある地位の者が勢揃いした場で,一方当事者である有明海漁業者らを前に同様のことを繰り返した農水大臣の発言の重みは,いくら強調しても強調しすぎることはない。

重要なことは,いかにしてそれを現実のものにするかである。そのイニシアチブは福岡高裁に執っていただくのが最善であり,他にふさわしいところはない。

国は,他方で,開門によらない基金による和解がベストとの立場を繰り返しているものの,そのための具体的な見通しは全く立っていない。だからこそ,農水大臣は前述のような発言をせざるを得なかった。

以上を踏まえ,福岡高裁がしかるべき時期に和解協議を実現していただくよう,改めて強く上申する次第である。