福岡大学で全学部生を対象にした「国際化と日本(グローカルな平和論)」の授業を担当。
僕が話すテーマは「中国人強制連行強制労働」

戦時中、日本では働き世代を根こそぎ徴兵したため、戦争遂行に必要な石炭などの採掘ができない状況に陥りました。そこで、中国で男性を拉致し日本の炭鉱などに連れてきて劣悪な環境で働かせました。

戦後、政府は外務省報告書を焼却し(今やったらシュレッダーかな)記録が残っていないので事実確認ができないとトボけていました。しかし、焼却を免れた外務省報告書が1冊発見され、現実に強制連行強制労働が行われていたことが明らかになりました。各裁判所でも過酷な強制連行強制労働の実態が詳細に認定されました。おそらく、当時、日本が行った所業に関する証拠を失わせることに心を痛めた職員が密かに持ち帰ったものと思われます。今のシュレッダー問題でも良心の呵責を感じている職員がいるはずです。

強制連行強制労働の実態は明らかになりましたが、政府は謝罪も賠償もしません。最高裁は政府と加害企業に対して「被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待される」と異例のコメントを出しましたが、政府は解決に向けた努力をしません。
一方、企業は、政府とは別に独自に謝罪と賠償を行おうとしています。
まず、口火を切ったのが西松建設。そして、福岡でも炭鉱を経営していた三菱マテリアルは被害者に対して金銭を支払うだけでなく、記念碑の建立や慰霊追悼事業も約束しました。
その背景にはドイツの加害企業であったフォルクスワーゲンやメルセデス ベンツが、戦後、被害者に謝罪と賠償を行い「記憶・責任・未来基金」として今でも続け、それが企業に対する信頼につながっていることがあります。

この講座の受講生は120名余り。その9割以上が出席して熱心に授業を聴いています。僕が学生の頃は、授業をサボってばかりでしたが、最近の学生たちの勉強熱心な姿勢には感心します。