2021年(令和3年)10月22日

校則及び学生服に関する要望書

1 はじめに

 本年10月7日付「校則に関する意見書兼質問状」および同日付「学生服に関する意見書兼質問状」に対し、早々にご回答(本年10月12日付)をいただき誠にありがとうございます。

 保護者の質問に対して、文書をもってご回答いただいた貴校の誠実な姿勢に心より感謝申し上げます。

 貴校からの回答を受け、保護者として以下の要望をいたします。

 ただ、これはあくまでも要望であり、必ずしも貴校に回答を求めるものではございません。保護者の要望として貴校の学校運営に反映いただき、子ども達にとってより良い学習環境の構築に活かしていただければと願っています。

2 校則について

(1)校則検討委員会について

 貴校においては、校則検討委員会を設置しているものの、緊急事態宣言発出中で同委員会の開催ができておらず、現在、開催に向けて日程調整中とのことです。

 生徒や保護者を交えた校則検討委員会の開催は、福岡市立中学校校長会提案の「よりよい校則を目指して」(以下「校長会提案」という。)においても求められていますので(校長会提案2頁4(3)参照)、いち早く開催いただければと存じます。

 なお、福岡市立松崎中学校をはじめ市内の各校においてすでに生徒を交えた校則検討委員会が開催され校則の「思い切った見直し」(校長会提案2頁4(4)②参照)がなされておりますので、貴校においても早急な取り組みをお願いいたします。

 校則検討委員会の開催にあたっては、「生徒が主体的に考え」「話し合い」ができるように(校長会提案2頁4(3)(4)③参照)、以下の点要望いたします。

ア 校則検討委員会における生徒の人数・構成

 校則検討委員会の委員構成において、教師や保護者よりも生徒の人数を多くすること。その際、各学年から複数の委員を選出することを求めます。

 生徒の人数を多くすることで生徒たちが安心して意見が言える環境を作っていただければと存じます。

 ちなみに、貴校において2018年(平成30年)3月に発足した標準服検討委員会は、教師3名、保護者3名(女性2名、男性1名)に対して生徒5名の構成でした。

イ 校則検討委員会におけるジェンダーバランス

 校則検討委員会の委員構成において、ジェンダーバランスに配慮すること。特に男性教師や男性保護者に偏ることがないように配慮することを求めます。

ウ 生徒が意見を出しやすい雰囲気づくり

 校則検討委員会において生徒が意見を出しやすい雰囲気づくりに心がけること。例えば、生徒の意見を否定するような発言をしないことを求めます。

 ちなみに、世田谷区立桜丘中学校においては生徒からの自動販売機設置の要望に対し、学校側がその要望を否定することなく真摯に受け止め、校内に災害対応自動販売機の設置が実現しています。

エ 支援学級保護者や専門家

 校則の見直しに際しては、誰にとってもストレスの少ない学校生活となるよう、ぜひ支援学級に通う生徒の保護者もメンバーに加えていただければと存じます。

 また、貴校には、地域柄、弁護士など人権に関する専門家が多数在籍しています。たとえば、1年生の保護者✕✕✕✕さんは福岡県弁護士会LGBT委員会の委員長をつとめ性的マイノリティの生徒児童の権利について深い知見を有しています。このような専門的知見を有する保護者が貴校にはたくさんいます。人権、子どもの権利や性的マイノリティについて専門的知見を有する保護者をメンバーに加えていただければと存じます。

オ 校則検討委員会の継続的な開催

 校則検討委員会は1回の開催で終わるのでなく継続して開催することを求めます(校長会提案2頁4(4)①参照)。

(2)校則のホームページ公開について

 貴校においては、校則の検討中であることから校則のホームページ公開 は予定していないとのことでした。

 しかし、校長会提案では「生徒や保護者、地域の方に理解と協力を得るために」ホームページ等を活用して校則を「広く周知する」こととされています(校長会提案3頁5(2)参照)。「生徒や保護者等とともに校則について、話し合い、考える」ためには(校長会提案3頁4(3)参照)、まずは、保護者や地域の方が校則の現状を正確に把握することが不可欠です。そこで、現在の校則および校則検討の過程についてもホームページで公開されることを求めます。

 なお、2018年度(平成30年度)の貴校PTA理事会においては、理事会自体をインターネットでオンライン配信し議論の過程をひろくPTA会員に公開していました。

3 学生服について

(1)学生服(標準服)の値上げについて

 学生服(標準服)の値上げについて、校則検討委員会では検討していないとのことでした。

 学生服(標準服)の値上げによってもっとも影響を受けるのは、今後、貴校に入学する現在の小学生およびその保護者達です。

 そこで、学生服(標準服)の値上げについては、少なくとも、貴校に進学予定の2つの小学校の保護者の意見を聴くことを求めます。

(2)標準服以外の服での登校について

 貴校においては、標準服以外の服を着て登校することについて、今後、校則検討委員会で検討する予定とのことです。

 そもそも、学生服は「制服」ではなく、あくまでも学校側が望ましいと考えている「標準服」にすぎず、標準服を着用するか、別の服を着用するかは生徒の自由なはずです。この大原則と、保護者の経済的負担への配慮から、標準服以外の服を着て登校することを認めることについて前向きにご検討ください。

(3)学校指定のシャツ以外の着用について

 学校指定のシャツ以外の着用を認めるかについても校則検討委員会で検討する予定とのことです。

 貴校指定の標準服が、市販のものに比べて品質特に速乾性や風通し肌触りなどの面で優れていることは私も十分承知しています。

 ただ、今回の値上げに伴い、保護者の経済的負担が増すことを考えるならば、必ずしも学校指定のものではなく市販品のシャツでも構わないとするような運用も認めていただきたいと存じます。この点についても前向きにご検討ください。

(4)ポロシャツの裾をズボン(スカート)の外に出すことについて

 ポロシャツの裾をズボン(スカート)の外に出すことについても校則検討委員会で検討する予定とのことです。

 校長会提案では、校則の見直しにおいて「生徒一人ひとりへの健康上の配慮」が求められ、「暑さ寒さへの対応や、活動しやすさへの対応などに選択の余地がないなど、健康上の問題を生じる恐れがある校則は見直しを行う」こととされています(校長会提案2頁4(2)参照)。

 ポロシャツの裾をズボンの中に入れることで、猛暑時の上半身の体温が4度程度高くなることは科学的調査の結果でも明らかとなっております。

 熱中症対策の点でも、ポロシャツの裾をズボン(スカート)の外に出すことについて前向きにご検討いただければと存じます。

以上

添付資料

1 「校則改革のカギ 第三者と生徒」アエラ(2021年10月18日号)

https://dot.asahi.com/aera/2021101500011.html?page=1

2 「誰もが幸せになれる学校をめざして」しんぶん赤旗(2021年10月5日~毎週火曜日連載)

3 「なんであるの?!ブラック校則」RKBテレビ「まちプリ」(2021年10月20日放送)

https://rkb.jp/article/47402/