2021年(令和3年)1月21日

福岡市長   高島宗一郎 様

福岡市教育長 星子 明夫 様

福岡市の制服を考える会

外別紙団体

要望書

第1 要望の趣旨

1 新標準服に関する販売や運用において性別による区別をやめてください

2 校則および生徒指導において不必要な性別による区別をやめてください

3 合理的理由が説明できない校則および生徒指導、人権上問題がある校則および生徒指導を直ちにやめてください

4 校則および生徒指導の実態を把握するために生徒および保護者に対してアンケート調査を実施してください

5 校則の制定、見直しにおいて、生徒も参加した校則検討委員会を立ち上げるなど、生徒の意見を反映してください

第2 要望の理由

1 2019年4月に警固中学校、住吉中学校で選択制標準服が導入したのを皮切りに、福岡市内のすべての市立中学校で選択制標準服が導入しました。全国の自治体に先駆けて生徒の意思を尊重した貴市の取り組みに対し、深く敬意を表します。

 一方で、学生服販売店では新標準服が男女別で販売されるなど生徒の個性に配慮しない販売が見受けられます。学校現場でも、教職員が「男子は選択できない」と指導したり、校則において選択できるのが女子生徒だけとなっているなど新標準服導入の趣旨に明らかに反する運用がみられます。

 生徒自身において自分が活動しやすいと思う学生服を自分の意思で選ぶという選択制標準服導入の趣旨に鑑み、新標準服に関する販売、運用において性別による区別がなされることのないよう、販売店、教職員に対し指導してください。

2 服装において性別による区別をしない選択制標準服が導入されたものの、多くの学校では、頭髪等の面で男女を明確に区別する校則が残っており、それに沿った生徒指導がされています。

 これでは性別による区別をせず生徒一人ひとりの個性を尊重するという選択制標準服導入の趣旨が損なわれてしまいます。

 そこで、校則および生徒指導において不必要な男女分けを見直すよう教職員に対し指導を行ってください。

3「靴下は白、ワンポイント不可、上靴を履いた状態で床から15cm以上」

 「男子の肌着は白」

 「女子の下着は白かベージュ」

 「前髪は眉上、横髪は耳にかかってはいけない。ツーブロック禁止」

 「女子が髪を結ぶ位置は耳よりも下(ポニーテール禁止)」

 「髪を結ぶゴムの色は黒・紺・茶のみ」

 「眉毛を整えてはいけない」

 これらは福岡市内の多くの公立中学校で採用されている校則です。

 なぜ靴下は白でなければならないのか、ツーブロックがいけないのか、生徒から教職員に尋ねても「校則で決まっているから」「中学生らしいから」としか返答はなく合理的な説明はありません。

 靴下の長さ色や、髪型、下着の色の指定など、何を目的としているのか合理的説明ができない理不尽な校則が多数見受けられます。

 また、教職員が生徒のくせ毛を伸ばしたり、髪を押さえつけて頭髪検査するといった明らかに理不尽な生活指導がなされています。地毛証明書の提出を求める学校も少なくありません。

 さらに、生徒を一列に並べ、シャツやブラウスのボタンを外させた上で、一人ひとりの下着の色を教師がチェックするという服装検査が行われている学校もあります。

 校則には、集団生活を円滑に行なうことで子どもたちの教育を受ける権利を充足するという意義があります。

 しかし、靴下の長さを細かに指定したり、下着の色を指定すること、ツーブロックを禁止することなどに、集団生活を円滑に行うという意義は見いだせません。ましてや、靴下や下着、髪型などを厳格に指定することが子どもの教育を受ける権利を充足させることにはつながらず、逆に、理不尽な決まりであっても疑問を持たず黙って従うべきという意識を生徒たちに植え付けることになりかねません。これでは民主主義社会における主体的な市民の育成を阻害する結果となりかねません。

 また、シャツやブラウスのボタンを外し前をはだけさせた上で、教師が生徒の下着をチェックしたり、地毛証明書を提出させることは、明らかに人権上問題がある指導と言わざるを得ません。

 この点、2020年(令和2年)9月9日の福岡市議会において、星子教育長は、校則は「教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるもの」であるとし、「校則の内容に合理的理由がなく明らかに人権の視点から問題がある場合は、教育委委員会から改善するよう指導」すると答弁しています。

 教育委員会においては、合理的理由が説明できない校則および生徒指導、人権上問題がある校則および生徒指導を直ちにやめるよう、教職員に対して指導してください。

4 星子教育長は前記市議会において「人権の視点から問題がある行き過ぎた指導の実態はない」「下着の検査は実施しておらず」と答弁していますが、学校現場では、今も合理的理由がない明らかに人権の視点から問題がある校則や生徒指導が行われています。

 教育委員会においては、熊本市教育委員会が実施したように、生徒や保護者に対するアンケート調査を実施し校則や生徒指導の実態の把握に努めてください。

5 自分たちのことは自分たちで決めるというのが民主主義の大原則です。学生であっても民主主義の大原則が保障されなければなりません。しかし、校則の制定や見直しにおいて、生徒の意見を取り入れている学校は多くはありません。

 また、適正手続保障の要請からは、ルールは予め学生に知らされておくべきです。しかし、明文化されず、事前に告知されてもいないルールで生徒指導がなされることが学校では一般化しています。

 明文化されていないルールによる生徒指導は、生徒からすると教職員が気分によってあるいは人によって校則を使い分けているよう映ります。ペナルティを恐れる生徒は、先回りして教職員の気分を害さないように本来決められている校則よりもより厳しく髪型や服装を律することとなり、萎縮効果を与える結果となっています。

 本来、学校は、生徒たちが安心してのびのびと勉学に励む場であるべきです。それが、今や生徒たちがビクビクと教職員の顔色を伺う場となっています。

前記市議会において、星子教育長は、校則の見直しについて「生徒が校則について主体的に考える機会を設ける」ことの重要性に触れています。

 教育長が指摘するように、生徒が校則の見直しについて主体的に関与することは、民主主義社会の一員としての主体性を育む教育効果が期待できます。子どもの権利条約が保障する生徒の意見表明権の趣旨にも合致するものです。

 しかし、実際の学校現場では、生徒が校則について話題にしようものなら、教職員から「内申書に響くぞ」「ツーブロックで受験してみろ。高校落ちるぞ。それでも人生かけるのか」といった脅しを受けるなど、生徒が校則について話題にすることさえできない状況にあります。

 学校は、教科について学習するとともに、自らの権利(人権)について学び民主主義を学ぶ場でもあります。

 標準服変更に際しては、各校に標準服検討委員会が設置され、そこに生徒が参加することで生徒の意見を反映することができました。

 校則の制定や見直しにおいても、生徒の意見を取り入れるべく、校内に校則検討委員会を設置しその中に生徒代表を入れたり、生徒総会などで校則について議論することで、生徒が主体的に参加できる仕組みを作るよう、各校に指導してください。

 6 まとめ

 生徒たちが主体性をもって充実した学校生活を送れるよう以上要望いたします。

以上

(別紙)賛同団体

I(アイ)女性会議福岡

育成塾GOAL

一般社団法人子ども電話童神

一般社団法人「福岡おやじたい」

NPO法人アコア 

NPO法人SFD21JAPAN

NPO法人エンパワメント福岡

NPO法人ジェンダー平等福岡市民の会

NPO法人にじいろCAP

NPO法人博多ウィメンズカウンセリング

NPO法人LOUCSー虐待サバイバーを支援する会

笑心笑心

LGBTの家族と友人をつなぐ会in福岡

教育文化研究所

咲くふぁ福岡

自由法曹団福岡支部

青年法律家協会福岡支部

でこぼこの会

terra cafe kenpou

なかよし文庫

西日本青少年舞台芸術研究所

ふくおか教育を考える会協議会

福岡市教職員の会

福岡市男女共同参画推進サポータークラブ

ふくおか市民政治ネットワーク・福岡城南

ふくおか市民政治ネットワーク・福岡東

福岡哲学カフェ エクフィロ

不登校支援オフィスここるーむ

フラワーデモ@福岡

ふり~すぺ~す えん

フリースペースYURUYURU

プラン博多

LALQ(LGBTとともに生きる弁護士の会・九州)

ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス