2022年(令和4年)9月2日

 

福岡市長   高島宗一郎 様

福岡市教育長 石橋 正信 様

福岡市の制服を考える会

外別紙賛同団体

要望書

第1 要望の趣旨

1 福岡市内各公立中学校において昨年度見直しが行われた校則について、福岡市立中学校校長会提案「よりよい校則(生活のきまり)を目指して」(以下「校長会提案」という。)の意義を踏まえた上で同提案にある留意点に沿ったものとなっているのか検証してください。

2 校長会提案の意義を踏まえず留意点に沿わない見直しに留まった学校に対し、速やかに校長会提案の意義を踏まえ同提案の留意点に沿った校則に変更するよう指導してください。

 

第2 要望の理由

1 昨年1月21日、私達は、福岡市長及び教育長に対して、合理的理由が説明できない校則や生徒指導を直ちにやめることなどを求める要望書を提出いたしました。

 同年2月17日、福岡県弁護士会は、文科省や福岡市教育委員会などに対し、合理的理由が説明できない校則や生徒指導、子どもの人権を侵害する校則や生徒指導の廃止などを求める意見書を発表しました。

 さらに、同年6月8日、文科省は、事務連絡「校則の見直し等に関する取組事例」を発表し、都道府県・指定市教育委員会などに対して、所管の学校に対して事務連絡の周知を図るよう求めました。

 このような動きを受け、同月、貴市教育委員会は「福岡市校則見直し検討協議会」を設置し、同年7月、福岡市立中学校校長会は「よりよい校則(生活のきまり)を目指して」を提案しました(校長会提案)。

2 校長会提案において、校則は「生徒を管理するためのものではな」く、「生徒の健全な学校生活」と「生徒のよりよい成長」のための行動指針であることが確認されました。

 その上で、校則をとおして、

「自分でよりよいものを選択する力」

「一人ひとりの人権・多様性を尊重する態度」

「社会の一員としての社会規範を遵守する態度」

を養うことを目指すとされ、「社会の変化に適応し、生徒の人権を尊重した、よりよい校則への見直し」を提案するとしました。

 校則の見直しに際しては、

「生徒一人ひとりの人権の尊重」

「生徒一人ひとりへの健康上の配慮」

「社会の常識や時代の進展などを踏まえたもの」

に留意することが求められ、生徒や保護者等とともに校則について話し合い、考える場としての「校則検討委員会」等の設置を求めました。

 また、校則の見直しは、「継続して取り組むことが大切」であり、「思い切った見直しが必要」「生徒が主体的に考える」ことが大切であること(文科省1991年(平成3年)4月10日通知)が確認されました。

 さらに、ホームページ等を活用して校則を広く周知することも求められました。

3 この校長会提案を受け、昨年度、福岡市内の各公立中学校において校則の見直しが行われ、今年度から新たな校則が導入されました。

 見直された校則について、私達で調査を行いました(別添資料参照)。

   私達が調査した28校中、福岡きぼう中学校を除いて、何らかの髪形規制が残り、中でもいわゆるツーブロックやポニーテールを禁止するなど合理的説明ができない校則を残したままの学校も多数見られました。ポニーテール禁止を撤廃した学校においても、ハーフアップを禁止するなど明文にないあらたな指導をする例も見られます。

 また、4分の3の学校で眉毛を整えてはならないとされ、半数以上の学校で下着の色規制が残ったままとなっていました。昨年度まで、眉毛に関する規制がなかったにもかかわらず、今回の見直しで眉毛規制を新たに付け加えた学校もありました。

 さらに、靴や靴下の色規制も根強く残ったままで、学校指定の靴以外の購入を認めないとする学校もありました。

 校則をホームページで公開している学校は全体の3分の1以下にとどまっています。

 今後も生徒を交えて毎年校則の見直しを行っていくと校則改正手続きについて触れていたのは私達が調査した範囲では、東区の和白中学校1校しかありませんでした。

5 校長会提案では、「自分でよりよいものを選択する力」を養い、「生徒一人ひとりの人権を尊重し」「生徒が自己決定する場を大切」にして「生徒、保護者が納得できる説明ができるものとする」ことが必要であり、そのために「思い切った見直しが必要」とされました。

 それにもかかわらず、生徒の人権を尊重し、生徒の自己決定を大切にして、生徒が納得できるような思い切った見直しがなされたと評価できる学校はごくわずかしかなく、多くの学校で、靴下の色が白一色から黒と紺色も認められるようになったといった程度の見直ししかなされていないのが実情です。

 また、ツーブロック・ポニーテール禁止といった合理的説明ができない校則や、眉間や眉周辺の産毛の処理すら許さないといった生徒の人権を無視した校則も根強く残ったままとなっています。眉毛を整えることについて「理容店・美容室でも断ること」を生徒に要求する学校さえあります(内浜中学校)。

 さらに、生徒とともに校則について話し合い考える場が必要としながら、グーグルフォームで簡単なアンケートを取っただけで生徒の意見を取り入れたとする学校も多数見られました。アンケート自体も生徒が本音を述べやすい設問となっておらず問題です。そればかりか、保護者から、校則見直しの過程を知りたいとの要望が寄せられながらも、見直し過程を保護者に一切公表することなく秘密裏に行い、ホームページ公開を頑なに拒否する学校もありました。

6 このように、福岡市内の各公立中学校で行われた校則見直しの多くは、生徒の意見を反映することなく実質的には教師主導で秘密裏に行われ、それまで白一色だった靴下に黒と紺色を追加するといった程度の見直しにとどまりました。

    これでは、生徒の「自己決定する場を大切」にして「自分でよりよいものを選択する力」を養うことにはなりません。ツーブロック・ポニーテールの禁止や、下着の色の指定、眉毛を整えることを一切禁止することは、「生徒、保護者が納得できる説明」ができるものではなく(ツーブロック禁止の理由として「政府がそう言っている」、ポニーテール禁止の理由として「男子が欲情する」など)、「生徒一人ひとりの人権」(自己決定権、プライバシーの権利、表現の自由など)を踏みにじるものです。

    「思い切った見直しが必要」との文科省の通知から30年以上経っても、学校現場では、靴下の色を1色から2色追加する程度の見直ししか行うことができないのが実情です。

    これではいつまで経っても生徒一人ひとりの人権に配慮した思い切った見直しができるわけがありません。

7 そこで、貴市市長及び教育長に対して、貴市の公立中学校において校長会提案に沿った校則見直しがなされたか検証するとともに、取り組みが不十分である学校に対しては校長会提案に沿った校則に変更するよう指導することを要望します。

以上



(別紙)

賛同団体

きどかつや社会福祉士事務所

不登校支援オフィスここるーむ

Active Parenting JAPAN

LGBTの家族と友人をつなぐ会in福岡

NPO法人LOCUS(虐待サバイバーをつなぐ会)

#wlong

ふくおか市民政治ネットワーク・福岡城南

子どもの未来を守る会

ふくおか教育を考える会協議会

なかよし文庫

福岡市教職員の会

福岡市男女共同参画推進サポーターズクラブ

terra cafe kenpou

NPO法人みんなの学び館