「蟹工船」の小林多喜二は築地警察署に連行され数時間ののち死亡した。1933年(昭和8年)、29歳の死であった。
「母」は、母タキの目線で見た多喜二の物語である。
母は、多喜二が何をしていたかを知らない。でも、警察に殺されなければならないような悪いことを息子がするはずはないと信じていた。
多喜二はただ小説を書いていただけである。
小説を書いただけで殺される社会。それは70数年前のこの国の真実。多喜二を殺した特高部長はこの年だけで19名の命を奪い後に内務大臣となり戦後は自民党公認で参議院山口選挙区から出馬し1989年(平成元年)95歳まで生きた。特高課長は戦後佐賀県などの警察部長を務めた。拷問した署員らは警察署長や教育委員長を務めるなど異例の出世を果たした。誰一人として罪に問われることはなかった。
「母」は訴える。この物語は遠い過去ではなくすぐ先にある未来であると。
秘密保護法、安保法制が施行され、オリンピックに名を借りて共謀罪が新設され憲法が変えられようとしている。自由にモノを言うこと、歌うこと、小説を書くことが許されなくなってきている。自民党憲法改正草案は「公益」をもって人権を制限する。原発推進を国益だと考える政権によって脱原発を訴える私たちの声は奪われ共謀罪として逮捕される。子ども達が戦場に送られる時、平和を求める母の声は潰される。市民を守る警察官が母達に牙を剥く。
それは、共産主義者だから、クリスチャンだから迫害されるのであって、私には関係ないこと。そう考えている方にこそ観て欲しい作品。

ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は労働組合員ではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった
マルティン・ニーメラー(ドイツ・ルター派牧師)

「母 小林多喜二の母の物語」
原作 三浦綾子「母」
監督 山田火砂子
主演 寺島しのぶ
【日時・会場】
4月19日(水) 早良市民センター
4月20日(木) 中央市民センター
4月21日(金) なみきスクエア(東市民センター)

【上映時間】各会場共通
①14:39-16:30
②18:30-20:30
【料金】各会場共通
一般(前売)1200円(当日1500円)
障がい者 1000円
中高生  800円
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