昨夜,夜間中学の授業参観に行きました。
夜間中学とは,歴史的な環境や様々な事情で学校教育を満足に受けることができず,読み書きに不自由している人たちのために学びの場を提供するものです。
夜間中学は全国各地にありますが,九州には公立の夜間中学は一つもなく,県内3つの夜間中学は市民のボランティアで自主的に行われているものです。

千代中学校で行われている自主夜間中学校「よみかき教室」は毎週火曜日と金曜日の夜に開校しています。
昨夜はこんな感じでした。
はじまりの会(日直さんが進行します)
はじまりの歌(よみかき教室校歌「すばらしい教室」を歌います)
みんなの体操(ラジオ体操をします)
1時間目「健康学習」(1時間目はゲストティーチャーによる授業でした。公立学校の養護教諭による保健の授業と,この教諭が青年海外協力隊として派遣されたケニアについてのお話)
2時間目「個人学習」(生徒一人ひとりの要望や学習進度に応じてボランティア教師がマンツーマンで対応しています)
帰りの会
出席(仕事などの都合で登校時には生徒は揃わないので帰りの会で出席を取ります)
連絡
あいさつ

個人学習では,算数,国語,英語などを皆さん熱心に勉強しています。
ある方は,新聞のコラムをノートに毎日書き写して日本語を勉強していました。丁寧な字に驚きました。
漢字検定を目指して,アプリを使って漢字の学習をしている方もいました。
僕らは普段意識することなく日本語を話していますが,「は」が時には「わ」と発音すること,「へ」が時には「え」と発音する場合があること,前後の文脈で濁音や半濁音で読む場合があることなど「どうして?」と聞かれても僕らも良く分からないことだらけです。
ちなみに夜の挨拶「こんばんは」は「こんばんは」が正しいのか「こんばんわ」が正しいのか。僕は「こんばんは」と思っていましたが,昭和60年までは「こんばんわ」と教えられていたそうです。驚きました。

昨年,警固中学校PTAでも公立夜間中学校の設置を求める署名を集め福岡市に提出しましたが,福岡市議会では継続審議(実質的には否決)となってしまいました。
ただ,2016年12月に教育機会確保法が成立し,貧困や,不登校,外国籍を持つ方の学習問題など昼間の中学校では対応できなかった課題について,夜間中学への期待が大きくなっています。特に,不登校の生徒も公立夜間中学校で学習することができるようになったことは大きな前進だと思います。

1993年に山田洋次監督の「学校」で夜間中学の存在を知り,それから25年を経てようやく夜間中学校に行くことができました。もっと早くに行くべきでした。アンテナの張り方がまだまだ鈍かったと反省です。