福岡の支援者8人で、諫早湾干拓のフィールドワークを行いました。
諫早市の白木峰高原から諫早湾干拓地の全景を眺めます。あまりの巨大さに驚きます。
諫早公園の眼鏡橋。もともとは本明川にかかっていたもの。
1957年の諫早豪雨の際、上流から流れてきた立木が眼鏡橋に引っかかり橋が頑丈であったためにダムのように川を堰き止め市中心部に大水害をもたらしました。
この大水害の記憶が、上流の河川改修ではなく、なぜか沖合の海を堰き止める諫早湾干拓に繋がっていきます。
中央干拓地内部堤防の突端から調整池を眺めます。
と言っても、調整池には広大な干陸地(葦原)が広がり調整池は遥か遠くでほとんど見えません。
潮受堤防の開門というと、水門を開けたら干拓地が水に浸かると誤解されている方もいます。中には今も日々水門を開けていることをご存知ない方もおられます。今行われている水門は調整池に溜まった淡水を干潮時に水門を開けて排水するという一方通行の開門です。大量の汚濁した淡水を一気に有明海に流すのですから海水と混ざり合わず貧酸素水塊を生み漁業被害につながります。漁業者が求めている開門は、排水する前に調整池に海水を入れて浄化した水を有明海に排水するといういわば呼吸するような双方向での開門操作です。水位変動は20cmにとどまるので、干拓地にまで水が寄せることはありません。せいぜい干拓地外側に広がる広大な葦原の先の部分が少し干潟に戻るといった程度です。
諫早湾干拓地で使われた水は排水機場から調整池に流されます。
農業用水を確保するために全長7kmの堤防で海を閉め切り調整池が作られました。しかし、実際には干拓地で使用する水は調整池ではなく本明川から取水されています。調整池に海水を導入しても、本明川の取水口に堰を設ければ農業用水が塩水化することはありません。
車の外気温計を確認すると中央干拓地の気温が周囲と比べて2〜2.5度も低いことが分かります。新干拓地では冷害とカモの食害に見舞われています。
新干拓地を抜けて旧干拓地へ。旧干拓地が取水も排水も圃場整備も農民が手作業で行ってきたことが分かります。きちんと整備された新干拓地との差は歴然です。旧干拓地の入植者の皆さんは大変なご苦労をされてきたことでしょう。国と長崎県は、諫早湾干拓が完成すれば旧干拓地の水問題や地盤沈下なども解決すると嘘を言い、農民を騙し続けて、旧干拓地の整備を怠ってきました。
旧干拓地から南部排水門を経て潮受堤防へ。干拓地から潮受堤防までの距離や時間で、この諫早湾干拓の巨大さを実感します。
潮受堤防の中央排水機場。調整池の汚濁水が常に有明海に流されています。
北部排水門。
漁民に願いはこの排水門を排水だけの一方通行ではなく海水を導入する方向でも開けて欲しいという双方向での開門操作です。調整池内の水位がわずか20cm変わるだけですが、調整池に海水を導入するだけで、有明海全域の水質は劇的に向上し宝の海がよみがえります。そんなことをすれば事業の失敗が明らかになることを国は分かっているから頑なに拒否します。
太良町の竹崎城址展望台から有明海を眺めます。陸を移動していると気づきにくいのですが、諫早湾から対岸の大牟田や荒尾が近いことが分かります。
視察を終え、大浦のタイラギ潜水漁師の平方さんから竹崎蟹を食べながらお話を伺いました。
有明海のタイラギ漁はおよそ20年にわたって休漁が続いており、技術の伝承すら危うい状況にあります。
今、海苔のシーズンですが、大浦では一度も収穫できないまま秋芽の漁を終えなければならない厳しい状況が続いています。諫早湾に近い漁場ほど深刻な漁業被害に見舞われています。
今後もこのようなフィールドワークを続けます。諫早湾干拓の実情を皆さんに知っていただきたいと思います。
#有明海