毎週火曜日に市民と弁護士が行っている憲法学習会「terra cafe kenpou」。
今夜は、今年3月に行いご盛況いただいた「満州国の光と影」における緒方用光氏(九州シネマ・エンタープライズ社長、元日本ヘラルド九州支社長、元満洲映画協会社員)の講演の模様を視聴しました。
緒方氏は小学5年の時に満州に渡り、新京中学(現在の長春)卒業後、満州映画協会に入社。
満州映画協会は、中国人を日本の思うように操るための映画を制作するため、満鉄と関東軍の肝いりで作られた。
協会では、大杉栄事件の首謀者とされる甘粕正彦が二代目の理事長だった。ただ、甘粕氏は、粗暴な雰囲気ではなく、紳士的な人だった。
日本の映画界は戦時体制だったが、満映は自由な雰囲気だった。
李香蘭の「私のウグイス」は、ミュージカル的な作品だったが、日本国内では作れずに満映と東宝で共同して作った。結果的に日本国内で上映はできなかった。
満映は当時東洋一の撮影所。
京都大学共産党事件で日本国内にいられなくなった人たちを満映が引き取った。
満映では、カメラマンになりたくて入社したが、男性社員がどんどん出征するため、何でもさせられた。
甘粕氏は、戦時中なのに、髪を長髪にしていても、スーツを着ても何も文句を言わない。それどころか、野球チームを作って楽しむような人。自由さがあった。
甘粕氏は満州国の影の支配者と言われているが、
通常、兵隊から帰ってきた予備役の人たちから軍事教練を受けるが、甘粕氏は、そういったことも強制しなかった。
甘粕氏は陸軍刑務所を出所した後ヨーロッパに行っているがその際様々な勉強をしたのではないか。映画に関する知識も。
当時の満州での最高の文化人ではなかったか。映画だけでなく、満州の音楽、放送局、演芸などに絡んでいた。
当時の満映は社員2000人。
1945年3月に緒方氏は招集される。出征の際、甘粕氏に呼ばれ挨拶をした。その時、甘粕氏は「命を大事にしなさい」と声をかけた。彼はこの時、日本の敗戦を予期していたのだろう。
満州国の建国に関しては謀略を巡らせた人だが、緒方氏らには命を大事にしなさいと言うなど一般で思われているイメージと違う。
敗戦後、甘粕氏は満映の施設はそっくり中国に引き渡すようにと命じた。
その結果、満映の撮影所は中国に引き渡した。満映は、東北電影となり、内田吐夢さんら多くの満映スタッフも残って中国の人達の映画作りに携わった。
この時、中国のスタッフは日本人スタッフを先輩として扱ってくれた。
緒方氏は招集されソ連戦車に爆弾を持って突撃する訓練をしていた。ソ連軍によってカザフスタンに2年間抑留された。
【会場からの質問に答えて】
・岸信介氏(戦後首相、安倍晋三氏の祖父)は満州の実力者で、甘粕氏を満映の理事長に推薦したのも岸氏。
・満映のフィルムはソ連に接収されたが、そのコピーが福岡市総合図書館や西南学院大学に残っている。
・秘密保護法とか集団的自衛権とか、法律を扱う人間がドンドン拡大解釈していくのが恐ろしい。機雷があるから掃海するというが、実際はないのに自作自演をするかもしれない。現に張作霖爆殺や満州事変など日本軍のでっち上げだった(満州事変のフィクサーも甘粕氏)。集団的自衛権によってアメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。戦争は必ず人間を不幸にする。戦争はしちゃいけない。
来週は、中国残留孤児(帰国者)の2世の方をお招きし、中国残留孤児2世のおかれた現状についてお話を伺います。
お楽しみに。
テーマ「中国残留孤児2世のおかれた現状について」
講師:中国帰国者2世の方
とき:7月7日(火)19:00-21:00
会場:光円寺門徒会館(福岡市中央区天神3-15-12)
terra cafe kenpouの今後の予定をおしらせします。
特に記載がない限り
火曜日19時〜光円寺門徒会館(天神3丁目15-12)です。
予定は入れ替わるかもしれません。下記サイトでスケジュールをご確認ください。
https://ohashilo.jp/lawyer/goto/active/terra-cafe-kenpou/
なお急遽会場変更になることもございます。変更の場合は下記サイトでご案内いたします
https://ohashilo.jp/blog/
7月7日 中国残留孤児2世のおかれた現状(中国帰国者2世の会の方)
7月14日 チベットを訪ねて(横田つとむ氏、酒井嘉子)
7月17日(金)〜20日(月) 日韓未来バスツアー〜ナヌムの家、明成皇后生家、堤岩里記念館を訪ねる
7月21日 憲法講座9「内閣」八木大和氏(弁護士)
7月28日 原爆映像視聴
8月4日 「核不拡散条約再検討会議報告」吉﨑幸惠氏( 福岡市原爆被害者の会幹事)
8月11日 休み
8月18日 憲法講座10「裁判所」 德永由華氏(弁護士)
8月25日 日韓未来バスツアー報告(日高明子氏、田中美央氏)
9月1日 「障害者の自立」浦照明氏、嶽村久美子氏、國府朋江氏(弁護士)