「中国の今を知る〜中国のLGBT事情」を開催しました。
今の中国を知ること、そこから日本を見つめ直したいとの思いで、このテーマを学ぶこととしました。会場は立ち見が出るほどの満席。参加者の中心は30代40代です。
ご存知のように、性的マイノリティとはレズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しないため身体の性に違和感を持つ人)などの方々の総称として使われており、その頭文字を取ってLGBTと称されています。ただ、性的マイノリティはこのLGBTだけに限りません。そもそも性は多様であり、恋愛対象として好きになる人の性がないという人や、男女どちらでもあると感じている人、自分の性を決められない、または迷っている人など、数えきれないほどの形があります。性は多様であり、みんな違って当たり前だという意識を持つこと、ひいては自分自身も多様な性のうちの一つである、ということに気づくことが大切です。
学習会では、中国の3組の同性愛カップルを追ったドキュメンタリーを視聴しました。
中国では、ほとんどのLGBTQ+(性的マイノリティ)の人々は本当の自分を隠して生きています。
親に理解してもらえたゲイカップル。この母親は性的マイノリティが受け入れられる社会を目指しボランティアとして活動しています。
一方、14年前に親にカミングアウトしたものの今も受け入れてもらえないレズビアン。ボランティアの説得により受け入れるかに思えた母親は、娘に会ったこともない男性との偽装結婚をすすめます。
ゲイであることを父親に告白したものの受け入れてもらえず、父親が思い描く息子の幸せと自分自身の幸せとのズレに苦しむ若者。
この中国の現状が日本に比べて遅れているのでしょうか。面子を重んじる中国独特な現象なのでしょうか。
そうではありません。日本でも、差別や偏見に晒される現状があるため、カミングアウトでき、親や周囲に受け入れてもらえた人ばかりではありません。カミングアウトしたけど親や周囲に受け入れてもらえなかった人、カミングアウトできず本当の自分を隠して生活している人も多くいます。
多くの先進国では同性婚を法的な結婚として認めています。先日開催されたラグビーワールドカップのベスト8の中で同性婚を認めていないのは日本だけでした。中国も日本と同じく同性婚を認めておらず同性カップルに対する法的保障がありません。
他方、台湾では、同性婚が認められています。先日、福岡市で開催された九州レインボープライドにも台湾からの同性カップルが参加し「私たち台湾から来ました。私たち結婚しています。これは結婚式の招待状です。私たちの喜びを分かち合わせてください」とプラカードを掲げ、参加者に結婚式の招待状を配っていました。胸が熱くなりました。九州レインボープライドには1万人を超える市民が参加しました。その多くが20代30代の若い世代です。私たちはついつい若者が政治や社会の動きに関心がないと思いがちです。でも、性的マイノリティのために若者が集まり、福岡市内を自分の顔と姿を晒してパレードするというのは、若者が自分の頭で考え行動した結果ではないでしょうか。
私たちは中国との過去の出来事に目を向けがちです。過去の歴史と向き合うことはとても大切なことです。特に日本人が加害の歴史を学ぶことは国際交流の基本だと言えます。
その一方で今の中国を学ぶことから日本の姿が見えてきます。
私達には中国が人権後進国に映っているかもしれません。でも、日本は世界に胸を張って人権先進国だと言えるのでしょうか。
今、福岡市をはじめとしたいくつかの自治体で、同性パートナーシップ宣誓制度が導入されました。しかし、同性婚の実現には至っていません。
いよいよ日本でもすべての人に結婚の自由を求める裁判が始まりました。福岡では12月2日に第一回口頭弁論が開かれます。
アジアで初めて同性婚を実現した台湾に続いて、日本と中国でも同性婚、そして性的マイノリティの人権保障を実現しなければなりません。
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