「私たちは有明海をめぐる一連の訴訟を、『よみがえれ!有明訴訟』と名付け、宝の海有明海をよみがえらせると共に有明地域全体を再生していく活動を行っています」

「有明海の多様な生物が絶滅危惧種となってその対策が心配されているが、何よりも職業としての漁民そのものが『絶滅危惧種』として姿を消してしまう危機に瀕している。そのようなことを許してはならない」

「4県地域全体に及んでいるこの重大な被害を回復し、地域を再生していくためには、『宝の海有明海』をよみがえらせる取り組みが不可欠であることは当然ですが、本当にその要求を実現するためには、『有明海』そのものの浄化に限定されない4県地域全体の山から海まで、『水系一貫』の抜本的、総合的、統一的な取り組みが必要です。私たちが「よみがえれ!有明」と名付け、『有明海』に限定されない地域としての『有明』全体を回復しその再生のために必要な取り組みを行っているのはそのためなのです。私たちのこの願い、取り組みを本当に実現するためには、あまりにも当然のことですが、私たち住民の力だけでは不可能です。なによりも、利害の対立する漁業者、農業者、周辺住民の各団体、各地方自治体、それに加えてさらに何よりも国のリーダーシップの下で互いに本音で意見要望を述べあって充分な話合いを行い、みんなが納得する合意を成立させることが必要です。この話合いを本当に実現し、成功させるためには何よりも国が訴訟の一方当事者という立場だけにこだわるのではなく、本来国がその職責として行うべき、国民のそれぞれの立場によって持っている利害の調整、合意の形成を、国が有している総合的、発展的観点から行う能力と権能を発揮し実行することが求められているのだと確信しています。しかし国はその国民的な要求を実行しようとはしません」

「それぞれの裁判の判決が、全体を抜本的に解決する力とはなりえないものだ、というように考えるのであれば、それは違う、というべきです。『その判決だけ』では解決は無理だとしても、下される判決が判示した事実認定と判断理由の内容が、統一的、総合的、抜本的な解決に寄与することが可能となる具体的な方向と説得力を持ったものであれば、私たち漁民原告の取組みはもちろんのこととして、さらに国民の広い支持と共感によって、国の態度を解決のために必要な役割を実行する立場にかえることができると確信しています」

「『国民的資産である有明海の周辺に居住し、あるいは同地域と関連を有する全ての人々のために、地域の対立や分断を解消して将来にわたるより良き方向性を得るべく,』必要な和解協議が実現することに寄与する大きな力を発揮できるものであることを切望します」

馬奈木昭雄弁護士

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